3.0 Tesla MRI 臨床応用

CLINICAL APPLICATION OF 3.0 TESLA MRI

3.0T MRIのS/N比改善により、多断面化や高分解能化の情報を得られ、機能検査への
応用として Voxel Based Morphometry (VBM)、Functional MRI (fMRI)、
Diffusion Tensor Imaging (DTI)、Fiber Track、Perfusionの高磁場の利点をいかした
臨床応用を目的とした研究を行う。

社団法人長崎医療研究所 長崎琢麿

Voxel Based Morphometry (VBM)

T1画像を1㎜程度のVoxel dataとして全脳をScanすることにより得られる情報を利用して、
容積変化をVoxel単位で統計解析を行うことにより、海馬や海馬傍回の萎縮を視覚的に
評価することができる。これにより、アルツハイマー型の痴呆診断に応用可能となる。
正常人の脳の標準値と比較して、Voxel単位で統計処理を行うSoftwareとして、VSRADが
存在する。 臨床検査時間内に形態情報を取得して情報を蓄積し、比較対象となるDataの
精度を向上させることにより、臨床応用への新たなステージへと踏み出す。

Functional MRI (fMRI)

神経細胞の活動に伴うMetabolic変化を視覚的に画像化するのがBrain activationという
手法が確立されている。これは神経細胞の活動に伴う血流量は局所で上昇し、
Hemoglobin量の相対的低下を生じさせ、磁化率効果が相対的に小さい酸素化Hemoglobinの
為、賦活化された脳局所のMR信号の上昇が得られることを利用する。高磁場における
磁化率効果が大きくなることは、前研究のSWIにて確認しているので、賦活化された
MRI信号を高感度で情報を得られることが可能となる。ここで得られた信号を
OsiriX Plug-inで視覚化させ、全脳での機能を詳細にMappingし臨床応用を行う。

DTI and Fiber Tractography

多軸の拡散強調画像を撮像することで、不等方性拡散の方向を求めて神経線維の走行を
数学的にTensor解析手法を利用する。この画像解析方法をDiffusion Tensor Imaging
という。画像断面上に軸索の方向を加味して描出する拡散カラーマップと、軸索の方向を
追跡して描出するTractographyがある。脳及び頸部のTractographyを取得することによる
臨床応用を期待して研究している。Tractographyは、PHILIPS MRIのConsoleや
Macintosh上で描出させているが、Windowsでは東京大学で開発されているdTVやという
Softwareでも描出可能となっている。

Perfusion MRI

MRIでは非造影検査にて、血液の磁化状態を造影剤の代わりに利用する検査方法が
知られている。これはArterial Spin Labeling (ASL)法と呼ばれている。ターゲットの
プロトン・スピンを反転させることで信号が血流量の多寡により変化する。この信号の
変化を捉えるのが、Perfusion Weighted Imagesとなる。3.0 Teslaの装置では、S/N比の
向上とともにT1の延長によるLabeling効果の上昇も加わりPerfusion信号が大きくなり、
画質向上が期待される。このASL法を研究して、脳と心臓(循環器)領域で、臨床応用が
可能なRoutine Protocolの研究を行う予定としている。